July 5

7月5日(月)

 

【朝】ヨーグルト

【昼】カツサンド

【夜】串カツフルコース

 

服は上から、マルジェラのネイビーのシャツ、ジュンヤの黒チノ、メレルパスウェイ。

 

仕事を午前で終え、昼から門真へ免許の更新。2度目のゴールド更新。ローティーンの頃に右目の視力が突然ほぼ無くなるみたいなことがあって入院したりしてたんだけど、それ以降常に視力検査は鬼の山勘で乗り切っています。今回も京阪電車に乗ってる時からバキバキに集中力を高めてゾーンに入り視力検査へ。全問正解だったようです。

 

京阪古川橋駅懐かしい。23歳とかそのぐらいの時に古川橋に住んでる人が「地元の駅の高架下の居酒屋で30周年記念フェアやっててビール1杯10円だからいかない?」とか言われてノコノコ行ったことある。1杯10円のビールを2人で380円分飲んで、その人はウンコとゲロ同時漏らしするぐらい限界のカスになってたこととか。色々思い出した。その居酒屋まだあるかなとおもって覗いてみたらスーパーになってました。

 

夕方になり、友人宅に食事を誘われてたので行った。比較的新しい友人。去年の年末に出会ったから半年ぐらい。ここんところ毎週のように誘ってもらっている。こちらから誘ったことはないので申し訳なくおもう。

 

兄上が大阪の南の方で減農薬野菜や米の農家をしているという料理人の方が新鮮すぎる朝獲れ野菜(茄子や甘長唐辛子など)を持ってきてくれていて串カツにした。

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ウズラの卵みんなでむいたり楽しかった8畳ほどの部屋に5人でスタンド形式で。窓は全開でクーラーフルスロットルで気持ち良すぎた。空が白からアスファルトと同じ色になるまで暮れていくグラデーションとか。

 

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長崎から送ってきたと言う大トロも美味しすぎた。でも最終的にフルコース全部平らげたあと柚子胡椒を指につけてそれねぶりながら酒飲んでたけどな、おれは。おしまいの酒飲みのおじいさんにすぐなるの本当に最悪すぎる。5人で角瓶2本とバルヴェニー1本、赤霧2本とワイン一本、箕面ビール各自一本空けた。20本あった500mlのウィルキンソン炭酸が帰る頃にはほぼ全部なくなってた。豪傑揃いすぎ。帰り、電車普通に寝過ごして起きたら生駒だった。自分が少しの信仰心でも持ち合わせている人間だったならこう言ってたとおもう。アーメン

July 4

7月4日(日)

 

【朝】チリビーンズとひき肉のラップ、アイスコーヒー(スターバックス

【昼】油そば(きりん寺)

【夕】生ビール、レモン酎ハイ×2、メンマ、キムチ、ぎょうざ、唐揚げハーフ、冷やし中華(家近くの町中華

【深夜】缶酎ハイ・ロング2本とショート1本

 

服は上から、フィルメランジェの青の胸ポケTシャツ、カーハートのショートパンツ、TEVAのサンダル。

 

朝9時過ぎまで布団でゴロゴロ。起床し車でスタバへ。昨日に引き続きデニス・ジョンソン。店内、人ごった返してた。帰宅しまたTODOどんどん捌いてく。捌いても捌いても次から次に沸いてくる。それだけ溜めてたてことですよね。そしてとうとうSONYのα9を返すことに。半年間ありがとうございました。決して愛せなかったとかそういうわけではないけれど、というか15年近くフルマニュアルのフィルムカメラしか触ってこなかったぼくにとってはむしろコンテンポラリーなデジカメの優秀さを嫌というほど知らしめてくれたけど、でも色々考慮した上で返却。

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昼過ぎ、ほとんど頓挫していたプロジェクトを前にすすめるために日本橋へ。チェーン店で油そば食べる。雑な外食をしたいなと思うときがしばしばあって、食後必ず猛烈に後悔する。ぼくは後悔がしたいんだとおもう。

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腹ごしらえを終わらせて、本題に取り掛かる。色々店巡りしながら年始に買ったM1 Mac mini用のディスプレイを中古・格安で購入。前職の時に、会社からもらった年代物のApple純正の30インチのCinema Displayでは高解像度の表示がどう頑張っても工夫しても調べてみても出来なかったので。もう諦めてThunderboltdisplay買った、27インチ。家に帰って設置。もう夕方になっている。

 

家の近くに中華料理店が2軒あるのだがどちらも満足させてくれるクオリティある。喜ばしいことだ。それ以外の好ましい飲食店は皆無だが。2店舗のうちどぐされ町中華っぽいイキフン醸してる方の店舗へ。ビールあおりながら肴つまみつつ、1ヶ月前くらいから約束してた

東京の友達とのネットラジオで話すこと整理しようと思っていたが店に置いてるビッグコミックオリジナルを熱読してしまう。しまいには酒も進んでいき、ある漫画の描写に落涙してしまった。本当の本当にもうおしまいのジジイだなあって。

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店出てコンビニでアイスコーヒーL淹れて家へ。話すことざーっとまとめる。

でも、なんか色々あって後日に立ち上げ直そうってなった。このために飲みのお誘い断ってたのだけど仕方がない。コンビニで缶酎ハイ買い込んで昨夜に引き続きまたfonki cheffのDJ聴いてた。ルンバのセットのやつ。夏だなあって。

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夏を感じるためにサンダルや短パン履いたり、冷やし中華食べたり、ラテン音楽やダブ、レゲエを聴いたりする。僕は後悔がしたいんだとおもう。

 

 

July 3

7月3日(土)

 

【朝】アイスコーヒー(スタバックス)、万願寺唐辛子のおにぎり(セブンイレブン

【間】アイスコーヒー(コメダ珈琲所)

【夜】デュワーズハイボールスダチ酎ハイ、芋焼酎炭酸割り、セロリのサラダ、アジなめろう、ツナとザーサイ、野菜スティック(ひらやま・北浜)

スパイスハイボール、揚げ白身魚のタコス、夏野菜のピクルス(メイクワンツー・北浜)

黒胡椒ハイボール泡盛(カリー春雨)ロック、ハモンセラーノ、焼き野菜(エリンギ、スイートコーン、そら豆、ズッキーニ)、ぬか漬け、ローストチキン

 

服は上から、マルジェラの無地青Tシャツ、ジュンヤワタナベの黒チノ、ニューバランスの998。

 

休日だが朝からばんばんTODO捌いていく。6時半起床掃除機と拭き掃除。窓とサッシ久しぶりに拭いた。7時に車乗ってスタバ。読書、トム・ジョーンズ読み終わった。次はデニス・ジョンソン『海の乙女の惜しみなさ』。8時頃帰ってきて溜まってた様々なTODO処理マシーンに。昼ごろ本読もうと図書館行ったらコロナ前のディズニーランドばりに人でごった返してたからすぐ出てコメダへ。14ー16時、届くはずの荷物待ちながら読書。その後シャワー浴びて街へ。電車移動中はデニス・ジョンソンの続きではなくマーク・ストランドの短編集『犬の人生』読む。サコッシュに単行本入らねえから。

 

街に出た理由は飲むため。ひらやまやっぱいい店だよな。セロリのサラダ絶対頼みますね。

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3杯飲んでスパイス料理の立ち飲み「メイクワンツー」へ。僕以外の客は全員恋人と来ていましたね。焼き鳥食べたくなって1杯で店出て街を下りていく。膠、閉まってた。南京錠がっつり掛かってた。仕方なく本町駅まで下りていって船場センタービルに2週間前にできた麒麟堂へ。前回、仁淀川の山椒ふりかけたハイボール飲んだが今回は黒胡椒にしておいた。前回もそうだがハイボールに山椒/胡椒かけましたねって味。だからどしたんってこと。

 

すぐに19時の酒LO。カリー春雨ロックで頼んだら、小型犬なら充分溺死させられるくらいの量出てきてグラス受け取るとき、今夜の泥酔覚悟して生唾飲んでしまった、ごくり。カリー春雨は20年間飲んできた中で一番好きな泡盛です。麹使いはパワフルながら決して破綻していない切れ味。タイソンの左フックみたいな。沖縄の南の方でバラック小屋みたいな蒸溜所でおっさん3,4人で作ってるらしい。魂の酒造り。

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ホールにさのやの店員(元店員?)いたから「さのやっていつ開くんですか?」て小声で聴いたら「もうそろそろやり始めてると思います」て言われた。木曜日行ってガン締まりしてたのだが・・・、って思ったんだけど泡盛ガン飲みしてたからか普通に声に漏れ出てた。酔って意識と言動の間をふわふわと漂うのいい加減怖すぎ。20時前に店出て、うーん飲みたんないかもとか虚空に向かって発語しながら歩いて難波方面へ。当然だがまん防守ってない店しか開いてなく、うーん、まいっか、もう飲まなくても。と思い直して電車乗って帰れた。39年生きてきてこういうムーブようやくこの1年で出来るようになってきた。

 

まあ家に帰って氷結ロング缶2本開けたのだが。ここ数ヶ月、ずっと聴いてるfonki cheffっていうスペインのおっさんの新しいmixがYouTubeに上がってて聴いてたら楽しくなっちゃって。陽気なおじさんは傍から見るだけなら愉快なものです。近付くと大抵最低最悪なのだが。

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July 2

7月2日(金)

 

【朝】ヨーグルト

【昼】ご飯、汁、サラダ、鮭、梅干し

【夜】生ビールグラス、バーボン(エズラブルックスソーダ(Oui・アメリカ村

レモン酎ハイ、グレープフルーツ酎ハイ大、蛸の刺身おろしポン酢、じゃこと万願寺唐辛子、梅としらすの冷奴(虎徹日本橋

バイス、レモンサワー、セロリのナンプラー漬け、ザーサイ、ソムタム(店名場所ともに内緒)

 

服は上から、マーク・ジェイコブスの花柄の黒シャツ、ユニクロの黒の感動パンツ、メレルのパスウェイ。

 

金曜日。仕事終わり難波に出た。アメ村外れの立呑バーで軽く2杯。「今日も銭湯帰りですか?」とか「緊急事態宣言の2ヶ月何してました?」みたいな他愛のない会話。自分が人間であることを確認する大切な作業。Röyksoppの懐かしいアルバム流れてた。

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腹になにか入れなきゃいけないので19時酒LOに間に合うように虎徹へ。やはり常連がクソうるさくて<1人で静かに飲む店>というコンセプト崩壊しきってる。3年ぐらい前からだが。

 

飲みだすとやはり飲み足らず、まん防守ってない時間無制限の店で飲むことに。20分くらい歩いて店に向かう。歩いてる途中はDry & Heavy聴いてた。ドアーズのカバーとか。ダブ聴いて夏だなあって。2002年のアルバムね。最後の曲いい。女性VOのある特定の音域を絞ったミックスなんか泣ける。DJ光光光のBurrega Theme(Fat Day)とかさ。

 

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July 1 <One summer can change everything>

7月1日(木)

 

【朝】ヨーグルト

【昼】たらこスパ

【夜】生ジョッキ、レモン酎ハイ、塩タン、テッチャン、キムチ盛り合わせ(ミヤコ・大正)

レモン酎ハイ×3、トマトと茄子の柚子胡椒オイル、しらすスダチの冷奴(虎徹日本橋

宗田節割りサワー+ナカ×2(マルキュー食堂・日本橋

生ビール、担々麺(たぶっちゃん・日本橋

 

服は上から、どついたるねんのカツカレーTシャツ(刺繍ver.)、カーハートのショートパンツ(90s)、DI MELLAのサンダル。

 

今日から2021年下半期。先月39歳になった。新たな心がけとして率直さと素直さを取り戻そうと思っている。あとはTODOを極限まで少なくすること。やらなけれいけないことはその場その場で即処理するように。メールの返信みたいな超基本的なことから、公私ともに。

 

夜というか夕方、久しぶりにさのやに行きたくて大正へ。閉まってた。まん防がどうたらこうたらみたいな張り紙すらも無かった。潰れてる?もしそうだとしたらショックなのだが。平日しか開いてない駅前の焼肉屋、ミヤコに久々に行った。

 

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やっぱいい店だったな。腰の曲がったおじいさんがテキパキ働いているの見ると背筋伸びる。

安い値段で腰も低く肉質も充分すぎる。テッチャンの脂の甘さ、価格の安さ素晴らしい。酒飲みながら読みかけの本を読む。

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トム・ジョーンズの第一短編集『拳闘士の休息』。もうちょっとで読み終わりそうだけど、酔うてきたのでやめ。

 

飲み足らず日本橋へ移動。虎徹、やはり常連がクソうるさくて<1人で静かに飲む店>というコンセプト崩壊しきってる。3年ぐらい前からだが。まん延防止等重点措置で酒19時LOだからか酒のペースが自然と速くなって酔ってしまう。

 

みたいな感じで7月と8月限定で毎日日記をつけようと思います。少し思うところがありまして。よろしくお願いします。

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唯一本物の画家

彼と出会ったのはバルボア・パークの美術館だった。ケープコッドのガソリンスタンドを描いたエドワード・ホッパーの絵を見ていると、そばに彼が現れたのだ。トニーが口にしたのは、やたらと冗長で、細部にわたる痛烈な酷評だった―――技法に始まり技法に終わる批評で、彼はすべての画家に対する軽蔑を口にすると、こう言って締めくくった。

ピカソがまだ生きてたら勝負を挑むんだが。彼が俺の絵を一枚描いて、俺が彼の絵を一枚描く」

「君も画家なんだね」

「こいつよりもいい画家だよ」彼が言っているのはエドワード・ホッパーのことだった。

「じゃあ、いいと思えるのは誰の絵だい?」

「俺がすごいと思う画家は神だけだ。神から一番影響を受けている」

 

『海の乙女の惜しみなさ』ーデニス・ジョンソン 

 

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高潔で、もうじき別れていく世界を

近ごろ僕は、グレイハウンドが食べる時間に合わせて食事をする。そして夜、彼はもう寝ようという気分になると、僕が仕事をしているテーブルに音もなくやってきて、疲れた頭を僕の手に乗せ、仕事をやめさせようとする。心地よさを求めているのだ。人のぬくもりから安心を得たい、他者への信頼を表したいという気持ちなのだろう。たとえ僕が孤独で不安であっても、彼はそばにやってくる。だが、僕もまたそれを待っている。彼は自分の行き当りばったりの人生、僕の知らない過去について、語りたがっているかのようだ。彼のなかには、ひそかに何かを求める気持ちがあるに違いない。

僕はこうして、僕の手を必要とする犬を隣にはべらせている。ここは塀に囲まれた僕の庭だが、あらゆる面でいまだにマラカイト夫妻の庭だ。ときどき、知らされていない花がいきなり咲いて驚かされる。ここは彼らより寿命の長い庭なのだ。オペラ好きの僕の母によると、ヘンデルは死期を迎えたとき、その状況における“理想的な人”だったそうだ。高潔で、もうじき別れていく世界を愛していた。たとえそれが争いの絶えない世界であったとしても。

 

ー「戦下の淡き光」マイケル・オンダーチェ

 

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痛み、ポジティブ

刑務所に入ってるとき、俺は『ハートに火をつけて』の途中部分、

ロビー・クリーガーが演ってるギターのリフ、よく聴いたよ。

ドアーズの二枚組ライブアルバムに収録されてるやつな。

刑務所にいるときにはウォークマンでそれ何十万回も聴いたんだ。

そしてそこから俺は人生の意味ってものを見いだした。

俺は全ての物の中に存在する物事の本質ってのを

全部知ってるんだ―――それは邪悪なものだよ。

この全てが酷くおぞましい惑星に生きようって意志だ。

痛みはポジティブなもので、必要不可欠だ。

 

ー『私を愛する男が欲しい』トム・ジョーンズ

 

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雨の夜明け

テントの中に寝そべって、ミシェルは夜明けを待っていた。夜の終わりごろ猛烈な雷雨が訪れ、ミシェルは自分が少し恐怖を感じているのに気づいて驚いた。やがて空には穏やかさが戻った。しとしとと雨が降り始めた。彼の顔数十センチのところで、雨粒がテントの布地を叩き、鈍い音を立てていたが、雨に濡れる心配はなかった。突然彼は、自分の全生涯は今のこの瞬間に似たものとなるだろうという予感に襲われた。人間たちのさまざまなエモーションの中を自分は渡っていき、ときにはそれに巻き込まれかけるだろう。他の人間たちは幸福か、あるいは絶望を知るだろう。だがそうした事柄が、自分にとって真の問題となったり、自分を動じさせたりすることは決してありえない。

ー『素粒子ミシェル・ウエルベック 

ある人たちは夜には

 「おまえには若さと確信と仕事がある」

年嵩のウエイターが言った。

「おまえは何でも持ってる」

「あんたには何が欠けてるって言うんだ」

「仕事以外の全部だ」

「あんたはおれが持ってるものを

全部持ってる」

「いや、おれは確信を

もったことはないし、若くもない」

「いいかげん、ばかなことを言うのは

やめて、鍵を掛けてくれ」

「おれは夜遅くまでカフェにいたいほうの

人間なんだ」

年長のウエイターが言った。

 

「ベッドに入りたくない奴は

みんなおれと同じ人間だ。

夜に照明が欲しいと思う人間もそうだ」

「おれは家に帰ってベッドに入りたい」

「二種類の人間がいて、俺達は種類が違う」

年長の方が言った。

 

かれは家に戻るために着替えていた。

「若さと確信の問題じゃない。

そういうのはずいぶんといいもんだが。

おれは毎晩時間がきて

店を閉めるのがいやだ。

カフェを必要とする人間が

いるかもしれないから。」

「なあ、酒場は一日中開いている」

「分かってないな。

ここは清潔で感じのいいカフェだ。

照明も申しぶんない。

照明が素晴らしい上にいまは葉陰もある」

 

「おやすみ」

若いほうのウエイターが言った。

「おやすみ」もう一方も答えた。

 

かれは電灯を消しながら

自分と対話をつづけた。

もちろん照明が必要だ。

しかし清潔であることも、

感じがいいことも必要だ。

おれは音楽は欲しくない。

たしかに音楽は欲しくない。

この時間に開いているのはバーだけだが

バーの重々しいカウンターの前に

立つことには耐えられない。

おれは何を恐れているのだろう。

いや、恐れているのでも

怯えているのでもない。

 

無を知りすぎているのだ。

すべては無で人間もまた無だった。

ただそれだけの話だし、

それに照明がとても必要なのだ。

それから清潔さと秩序が。

ある者はそのなかで生きられる。

けど気づくことはない。

しかしおれは知っている。

 

ー『清潔で明るい場所』アーネスト・ヘミングウェイ 

 

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あらゆる依存の最後へ

GD.たどりつきたいと思うのは

“最後の一杯”だ

文字通り“最後の一杯”に

何とかしてたどりつくこと

そこが興味深いところだ

 

Q. “限界”のことですか?

 

GD.“限界”とはなにか・・・

難しいところだ

こう言おう

 

酒浸りになるというのは

飲むのをやめようとし続けることだ

 

つまり彼は“最後の一杯”を

やめられない

 

どういうことか

 

ペギーのとても美しい定式に

少し似ている

 

“最後の睡蓮が最初の睡蓮を

反復するのではない”

 

“最初の睡蓮がそのあとの

すべての睡蓮を反復する”

“最初の一杯”が“最後の一杯”を

反復する

 

だから“最後”が重要だ

では酒浸りの人間にとって

“最後の一杯”とは何か?

 

ー『アベセデール』ジル・ドルゥーズ

 

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白鳥は死の前に歓喜の歌を唄う

Q.やがて自分にも死が降りかかると悟ったのは、いつ頃ですか。

フランシス・ベイコン- 一七のときです。

はっきり覚えています。舗装道路に犬の糞があって、

それを見ているうちに突然思ったのです。

これだ、人生とはこういうものだ、と。

おかしなことですが、それから数カ月間悩みました。

そして、言ってみれば、事実を受け入れたのです。

自分は今ここにいるけど、存在しているのは

ほんの一瞬であって、壁にとまっている蠅のように

たちまちはたかれてしまうのだ、という事実をです。

 

「フランシス・ベイコン・インタヴュー」

 

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希望でも絶望でもない「通路」

自宅と通院する精神病院の間の風景を

撮りためた写真たちで編まれた写真集

出版前に作者は自殺してしまう

 

「もう『希望』を消費するだけの写真は

成立しない。細い通路を見出して行く作業。

写真の意味があるとすれば、

『通路』みたいなものを

作ることができたときだ。

『通路』のようなものが開かれ、

その先にあるものは見る人が決める。

あるいは、閉じているのではなく、

開かれているということ」

 

「生まれては消えて行く、猛スピードで

明滅するこの時代のスピードに、

言葉は追いつけない。

ある段階でその閾値

超えてしまったように思う。

写真はそのスピード感を摑まえる

作業に向いているけれど、

実は誰もなにも摑まえられないのだ。

それでもあきらめず、

『通路』を見出し続けることが大切。

いや、大切とすら本当は思っていない」

 

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飛びかう石のした

-  両義的、多義的なアプローチをもって
作品を制作する時、
心に留めていることはありますか?
 
WT   1枚の写真の中に、あるいは
シリーズの中に、さまざまなものが
混在するのを許すことです。
これに耐えることが重要です。
「耐える」というのは、完全に受動的に
受け入れることを意味しています。
ややもすればニヒリズムに陥る
危険性もありますが、
多種多様なものに関心を持ちながら、
投げやりになることなく、
凡庸にもならず、
斜に構えることなくいること。
これこそが自分が挑むべき挑戦です。
 
イデオロギーの善悪をふりかざし、
間違ったものに対して戦いを挑むことは、
実はとても簡単なことで、
物事の複雑さをそのまま受け入れ、
耐えることの方がはるかに難しいものです。
(…)耐えることの他にあり得る態度は、
身を引くことです。
 
(…)世界のことを考えはじめると、
もちろん厄介なことを
たぐり寄せることは避けられない。
それでも否定も肯定もせずに
一旦受け入れた上で耐え、
観察し続けること。
今のアートの世界には
そうやって世界を考える作業が
まったく足りていない。
でもぼくはそのことに
踏み込み続けるつもりです。

ヴォルフガング・ティルマンス

 

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イカルス

しかしある日とうとう
一人の青年が立ち上がった
名はイカルスといった
彼の若さは探求する心に取り憑かれて
彼は「この巨大な化け物が
何のためにあるのか暴いてやる」
と言い残し、就寝時間の隙に
持ち場を離れて、ろくろに
素手素足で登っていった

 

イカルスは目が覚めた
でも目はまったく開かなかった
指一本動かせず
しゃべることも無理だった
鼻から吸い上げる空気は
ひんやりと冷たく
クチナシの花の匂いが
身体に染みる(…)
イカルス、おまえがここに
来ることは知っていました
しかしあなたは下界に戻ることによって
自分の使命を果たすのです」
「自分の使命、なんのことです」
イカルスがそう聞き返すと
あたりはすでに暗くなり
目が開くと下の世界に通じる
穴だけが光っていた
彼の体は落ちるように吸い込まれて
消えていったのだった

ー『イカルス』Shing02

 

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